お知らせ

「胃がん内視鏡検診」1年を終えて

平成23年度は、205名の方が当院で浜松市の「内視鏡による胃がん検診」を受けられました。年齢は、70代が96名と最も多く、次いで60代の75名、80代の25名、50代の8名、90代の1名の順でした。偶発症のない安全な検診を目指し、前処置としては、胃内の泡をとるガスコン水の服用とキシロカインゼリーによる咽頭麻酔のみ実施しました。

205名のうち、胃がんと診断されたのは2名で、いずれも早期胃がんでした。そこで、無症状で発見され、内視鏡的に完全切除された大変幸運な70代女性のケースを報告させていただきます。

この方は高血圧症にて当院に通院されていました。お腹の症状はありませんでしたが、5月から胃がん内視鏡検診が始まった旨を案内したところ、早速受けてみるとのことで、6月2日に胃カメラ検査を行いました。

胃カメラを飲むのは2回目で久しぶりとのことでしたが、胃内にカメラを挿入すると、粘液が多量に付着した赤みの強い胃粘膜が現れ、一目でピロリ菌陽性の慢性胃炎と判りました。胃がんの高危険群であり、粘液を洗い流しながら丹念に胃の表面を観察していくと、出口に近い前庭部粘膜にわずかな凹凸が検出されました(写真矢印)。近接すると周囲よりわずかに盛り上がっており、色もやや白っぽいことが判明しました。

細胞検査にて、胃がんと診断され、聖隷浜松病院消化器内科を紹介しました。粘膜に限局した非常に早期の胃がんで、7月上旬に1週間入院し、内視鏡的粘膜下層剥離術を受けました。病変は完全に切除され、切除後の胃潰瘍も約1カ月で癒え、現在は以前と全く変わらない生活を送っています。その後、胃がんの再発予防を目的に、ピロリ菌の除菌治療も行っています。

このように、たとえ癌があっても早期に発見できれば、最小限の負担でがんを治すことができます。普段胃腸症状もなく、胃には自信のある方でも、50歳を超えたら胃がん検診を受けておきましょう。一度、専門医による内視鏡検診を受けておけば、自分の胃の状態を正確に把握することが可能であり、日常生活における注意点やその後の検診間隔など、的確なアドバイスを受けることができます。胃カメラを飲むのは怖い、時間がないなどと言わず、定期的な検診を受け、健康な身体を保持しましょう。

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